一般社団法人全国発酵乳乳酸菌飲料協会
発酵乳乳酸菌飲料公正取引協議会

乳酸菌の基礎知識

乳酸菌とは

乳酸菌とは、生育に必要なエネルギーを得るためにブドウ糖や乳糖などの糖を分解して乳酸をつくりだす細菌の総称で、人類にとって最も有益な細菌です。細胞の形状の違いから、棒状あるいは円筒状の形をした乳酸かん菌と球形の乳酸球菌に分類されます。
ビフィズス菌も乳酸をつくり、 ヒトの健康に寄与することから、 広義の乳酸菌に含めて考えられますが、次の2点が乳酸菌と大きく異なります。
(1)乳酸だけではなく、酢酸もつくる。
(2)酸素があると生きていけない(乳酸菌は酸素があってもなくても生きていける)。
ビフィズス菌の語源である「ビフィド」という言葉は、「枝分かれ」を意味するラテン語で、 菌の形がVやY字状に枝分かれしているものが多いことから、このように呼ばれます。
糖を分解して乳酸をつくりだすことを「乳酸発酵」といい、 この性質を利用して発酵食品が製造されます。


ビフィズス菌も乳酸菌の仲間です

1899年、フランスパスツール研究所のティシエは、母乳栄養児の糞便中にYやVの字のように枝分かれしている細菌がたくさんいることを発見しました。彼はこの菌をラテン語で「枝分かれ」を意味するビフィッド(bifid)から、ビフィズス菌と名づけました。このビフィズス菌も広義の乳酸菌で、人に有益な働きをしますが、次のような特徴があります。

●乳酸の他に酢酸も作る。
●酸素があると生育できない(偏性嫌気性菌)。

細菌の酸素要求性

人や動物は、酸素がないと生きていけませんが、細菌の中には、逆に酸素があると生育できない菌もいます。酸素の存在の有無は、細菌の生育に大きな影響を与えます。細菌を酸素要求性で分けると下のようになります。

乳酸菌の代謝産物

発酵乳(ヨーグルト) や乳酸菌飲料、チーズ等の商品ごとに独特の風味があるのは、乳酸菌やビフィズス菌の種類によって、乳などの食品原料を発酵する過程でつくりだされる代謝産物(酸や香気成分) の質や量に違いがあるからです。
発酵による代謝産物には主に次のものがあり、乳製品の風味や機能性に関わっています。
(1)酸(乳酸や酢酸)
乳酸菌が産生する酸として乳酸や酢酸、プロピオン酸などの有機酸があり、酸味のもととなります。有機酸には殺菌作用があり、腸内の有害菌の増殖を抑え、腸のぜん動運動を促します。
(2) 香気成分
乳酸菌が産生する代表的な香気成分としてジアセチルやアセトアルデヒドがあり、発酵乳やチーズなどの独特の香りを産み出します。
(3) その他
高分子の多糖類を産生する乳酸菌があり、独特の粘り気があるヨーグルトの製造に利用されています。また、抗菌物質であるバクテリオシンを産生する乳酸菌があることも知られています。

乳酸菌の製造に用いられる主な乳酸菌・ビフィズス菌

乳酸菌は、菌属、菌種、菌株というように分類され、同じ菌種の中でもさらに特定の「菌株」に細かく分類されます。例えば「ラクトバチルス属」であっても、菌種や菌株によって乳を発酵したときの風味や味に違いが出てきます。また、乳酸菌の機能性についても、同じ菌属、菌種であれば同様の効果があるとは限らず、菌株ごとに効果の違いがあることが知られています。

●乳製品の製造に用いられる主な乳酸菌・ビフィズス菌