一般社団法人全国発酵乳乳酸菌飲料協会
発酵乳乳酸菌飲料公正取引協議会

発酵乳の種類とメリット

発酵乳の種類

世界各国の発酵乳の中には、山羊、羊、馬、ラクダなどの乳を原料としたものもあります。また、乳酸菌だけでなく、酵母を利用した発酵乳もあります。
日本の発酵乳は、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」第2条に、『この省令において「発酵乳」とは、乳又はこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳等を乳酸菌又は酵母で発酵させ、糊状又は液状にしたもの又はこれらを凍結したものをいう。』と定義されています。

1.「糊状にしたもの」に分類される発酵乳

ハードヨーグルト
乳等を発酵させ、寒天やゼラチン等で固めたもの又はこれに果汁、甘味料、香料等を加えたもの。

ソフトヨーグルト
乳等を発酵させ、カードを形成させたもの又はこれに果汁、果肉、甘味料等を加え攪拌し、糊状にしたもの。

2.「液状にしたもの」に分類される発酵乳

飲むヨーグルト(ドリンクヨーグルト)
発酵によってできたカードを砕いて液状にしたもの又はこれに果汁、果肉、甘味料、香料等を加えたもの。

3.「凍結したもの」に分類される発酵乳

フローズンヨーグルト
乳等を発酵させたものを攪拌しながらアイスクリームと同じように凍結させたもの又はこれに果汁、果肉、甘味料、香料等を加えたもの。

発酵乳の起源

紀元前8000年頃、西アジアのチグリス・ユーフラテス河に挟まれた、いわゆるメソポタミア文化発祥の地において牛や羊が飼育され、乳を食料にするだけでなく保存するため様々な乳製品が作られ、その乳製品の一つとして酸乳や凝乳(発酵乳)が作り出されたと言われています。さらにその製法技術が家畜の飼育法とともにヨーロッパなど周辺の各地に伝播し、広まっていきました。また、酸乳や凝乳は旧約聖書にも記載されています。

一方日本では、奈良時代の仏教伝来の頃(500年代)、百済から牛とともに搾乳術が伝えられ、その後600年代に牛乳を保存するための加工品として「酪」「酥」「醍醐」と呼ばれるものが作られたと言われています。これらは現在のヨーグルトの原型となるもので、「酪」はコンデンスミルクやヨーグルト、「酥」はバターとチーズの中間のようなもの、「醍醐」はヨーグルトを凝縮したもの、またはチーズにあたるものと考えられ、当時王朝貴族の間では極上品として珍重されました。また、平安時代に書かれた日本最古の医学書「医心方」にも、「酪」「酥」「醍醐」の名前が見られます。

発酵乳、乳酸菌飲料の利点

1.牛乳のたんぱく質が消化吸収されやすくなっている

牛乳は、栄養的にすぐれた食品ですが、発酵乳は、牛乳をさらに乳酸菌で発酵させているので、牛乳中のたんぱく質が分解され、消化吸収されやすくなっています。

2.牛乳による下痢の心配が少ない

日本人には、牛乳を飲むと下痢をする人が欧米人にくらべて多いといわれています。これは、牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)を分解する酵素(ラクターゼ)が欠乏しているか、全く持っていない人に見られるもので、乳糖不耐症といわれています。
ラクターゼは、一般に乳幼児に多く、成人には少なく、また人種によっても違っています。アジアでは、約95%の人がラクターゼが欠乏しているといわれています。
乳酸菌で牛乳を乳酸発酵させた発酵乳は、製品中ですでに乳糖が一部分解されており、また、小腸に到達してからも、乳酸菌の持つラクターゼが乳糖を分解するので、下痢が起こりにくくなっています。

3.保存性がよく腐敗しにくい

発酵乳や乳酸菌飲料は、乳酸菌が産生する乳酸により製品のpHが低くなっています。このため、腐敗菌の増殖が抑えられ、牛乳に比べて保存性が高くなります。

4.風味を高める

乳酸菌は、発酵の過程で乳酸や芳香成分を産生します。これらの成分は、爽やかな酸味や好ましい香りを付与し、食欲を喚起します。

発酵乳、乳酸菌飲料はむし歯の原因とはなりません

むし歯の原因

むし歯は、図に示す4つの条件がそろった時にできます。 むし歯をつくる菌は、ミュータンス菌とよばれる連鎖球菌です。この菌は、特に砂糖を好んで食べ、不溶性グルカンというネバネバした物質を作り歯に付着させます。これがむし歯の始まりです。 発酵乳や乳酸菌飲料に使われている乳酸菌は、このミュータンス菌とは全く別の菌で、むし歯の原因とはなりません。

むし歯を防ぐために

上図の4つの条件の1つ1つに的確に対応することが、むし歯の予防と、丈夫な歯を作ることにつながります。

1.むし歯の原因菌「ミュータンス菌」を増やさない。
甘いものを食べた時に限らず、おやつや食事の後には、うがい、歯みがきをして口の中をいつもきれいにしておくことが大切です。

2.どんなものでも、長い時間かけてダラダラと食べない。
おやつは、決まった時間に15分以内で食べ終わるようにしましょう。

3.歯の質を良くすること。
カルシウムやたんぱく質は丈夫な歯を作るために大切な栄養素です。
特に、妊産婦は、カルシウム不足になりやすいので、消化吸収されやすいカルシウムを多く含んだ食品を摂るよう心がけましょう。発酵乳は、良質のたんぱく質、カルシウムを摂ることのできる代表的な食品です。